2006年10月07日

■筆まかせ■ 休暇とってました(3)

 北海道といえばなんといっても雄大な自然。ふだん見ることのない「広さ」を感じる瞬間が、北海道の魅力です。空も、海も、広い。その広さだけで、旅してよかったと思えます。楽しい旅であればあるほど、日常に戻りにくくなるのもつらいところ。でも、汗して働いて、たまにはこんな気分を味わっても、罰は当たりませんよね。

 知床での宿は「夕陽のあたる家」。自然ツアー付きの宿泊パックを予約していたので、食事のあと、夜の森の観察に出かけました。ガイドの阿部さんのご案内で、人が立ち入ることも少ないという森の中に入っていきます。立派な角をもつ鹿たちに出会えました。月明かりだけの森の中は恐怖感もありますが、むしろ「畏れ」という文字を使った方がいいかもしれません。葉ずれや虫の声に耳を傾けながら、ふだん耳にしている音が人工的なものばかりであることに気付きます。自宅では、夜寝るときに電気を消しても、冷蔵庫のモーター音や換気扇の音、車の通る音など、必ず聞こえますからね。
 3日、今回の旅行で初めての「雨」。知床五湖や知床峠など、自然を感じるツアーは雨脚が強まってきたこともあり断念。次の機会にとっておくこととして、知床をあとにして網走へ。ウトロから網走に行くバスは、テープによる観光案内があって、ちょっと耳障りなところもあって、またこれも一興。斜里から網走へは内陸の道も通り、整然と行き交う区画を縫いながらバスは走ります。
 網走では、天候に左右されずに楽しめる博物館や観光施設があり、到着後、博物館網走監獄と、北海道立北方民族資料館を見学しました。監獄は、旧網走刑務所の各施設を移築して行刑の歴史を振り返る見学施設です。中に置かれた人形がリアルすぎ。普通に暮らしていれば縁のないはずの施設ですが、中の展示は興味深く見ました。北方民族資料館は、アイヌだけでなく、イヌイットやイグルーなどの世界の北方民族の風習や文化を展示しています。大阪には、世界に誇る国立民族学博物館があり、それと比して規模は小さいものの、実物がたくさんあっておもしろかったです。ミュージアムショップで、おみやげにムックリを買いました。昔はうまく弾けたのに、できなくなっていて残念。また練習したいと思います。
 旅行最後の宿は、網走のペンション「わにの家」。イタリア料理のフルコースが夕食に出ます。ご夫妻お二人でやっていらっしゃる小さな宿ですが、ほんとうにゆっくりできました。食事は期待以上においしく、とても満足できました。旅の疲れが出てしまい、夕食後はほどなく眠りについてしまいました。
 4日、旅行最終日は絶好の行楽日和。日中は道路沿いの温度計が25度を指すほどでした。私たちの旅行の定番である、レンタサイクルを借りて近郊を回る、というのをやっていなかったので、朝9時過ぎから、駅に近い民宿で自転車を借りて、能取湖のサンゴ草群生地まで走りました。網走からサロマ湖まで、旧国鉄湧網線の廃線跡がサイクリングコースとして整備されていて、片道約15キロぐらいのコースですが、とても走りやすく、途中の景色も抜群で、今までのサイクリングコースの中ではピカ一でした。サンゴ草はピークは過ぎていましたが、見たこともないような赤いじゅうたんが美しく、青い空ときれいなコントラストを見せてくれました。(実は、事前にわにの家のご主人に「自転車は遠いから無理ですよ」といわれていたのですが、地図を見て行けそうな気がして、ご助言に背いてしまいました。すみません。観光案内所の方にも、タクシーの運転手さんにも「え〜、自転車ですか」と不思議そうな顔をされましたが、北海道と自転車ってやはりアンマッチなのでしょうか?)
 昼前に網走市内に帰り、刑務所に立ち寄ったあと、バスターミナルに自転車を置いて、バスで「北浜駅」へ。駅舎を利用したレストランで昼食をとるためです。シーフードスパゲッティとほたてのカレーを注文。駅舎の中に昔の客車の座席が配置され、食堂車でいただいているような気分です。味もおいしく、堪能できました。この北浜駅は、すぐ前がもうオホーツク海。食後、次のバスを待つ間、砂浜を散歩。駅舎の食堂への行き来がバスとはさびしいですが、本数が少なく接続が悪いので致し方なし。
 帰りのバスは途中下車して、新興住宅地と思われるところへ。幹線道路沿いに、食品スーパー、家電店、本屋、レンタルビデオ、ドラッグストアと、徒歩5分の間にすべての買い物が済むという、典型的な郊外型店舗。もうどこへ行っても同じ風景ですが、駅前の寂れようがうなずけて少し残念な気もします。
 というわけで、女満別空港から夕方の便で関西空港へ。2時間半でひとっ飛びであっという間に大阪へ帰ってきました。

  

Posted at 20:19

2006年10月06日

■筆まかせ■ 休暇とってました(2)

 今回の旅は、大阪(JR) 舞鶴(船)小樽(JR)札幌(飛行機)根室中標津空港(バス)根室(JR)釧路(バス)摩周湖・美幌峠(バス・JR)網走(JR)斜里(友人の車)ウトロ(バス)網走(バス)女満別空港(飛行機)大阪という、道東の主なスポットを早まわり、それもほとんど公共交通機関で、という、あまりみなさんがされないルートだったかもしれません。行程の中でゆっくり回りたいところに出会えれば、次の機会にはそこだけを目的にゆっくり来ればいいか、という思いもありました。

 10月1日、エクハシの宿の朝食はやはり地元の幸、サンマの煮付けやカニシュウマイ、カニ汁、イカの塩辛など。おなかいっぱい食べて、宿のお母さんにあいさつしてお別れ。その足で路線バスで「納沙布岬」へ。本土最東端。うっすらと国後島がみえましたが、これがはっきり見えると時化の前兆なのだそうです。いくつかの見学施設を見て回ったあと、乗ってきたバスで再び根室駅へ。途中、珍しい地層や岩石、また季節がよければ原生花園などの見所があるようですが、バスでは不便で見送り。やはり北海道は車で回った方が効率的です。駅前の食品スーパーで、「オランダせんべい」をおみやげ用に購入、最安の220円でした。
 つづいて、根室本線で釧路へ。車中はカニの駅弁に舌鼓を打ちながら、海と山が織りなす景観を堪能できます。一両編成でワンマン運転、最後部からのながめもおもしろく、ローカル線の情緒たっぷりです。約2時間で釧路に到着。ビルもあって大きな街ですが、日曜日ということもあってわりと閑散としています。お買い物はたぶん郊外のショッピングセンターなのでしょう。釧路の街は2〜3時間散歩のみ。観光施設や名所ということではなく、ただのんびり町歩きしてみました。やはり、中心街はちょっと寂れ気味。でも、駅から15分も歩くと雄大な太平洋が広がります。夕食は市内の炉端焼き店「炉ばた煉瓦」。テーブルそれぞれに炉が切ってあって、注文した食材を自分で焼くというスタイルです。とてもおいしかったです。
 2日。朝の釧路はほとんど視界ゼロの濃霧。海から霧があがってくるとのことで、この霧は北へ北へと内陸に流れていくそうです。ということは、これから乗る定期観光バスの行く先は霧? 残念な予想が当たってしまい、釧路湿原(北斗展望台)、摩周湖は霧で全く見えず。ただそのあとの美幌峠は、なんとか天気が回復し、美しい屈斜路湖の景観が楽しめました。
 あとさきになりましたが、この日のルートは大移動。釧路から定期観光バスで湿原の東側を回って摩周湖、美幌峠、そこで乗り換えてJR美幌駅。JRで網走駅を経て知床斜里駅、妻の友人のマイカーで斜里からウトロまで。定期観光バスでは前述のように景色はちょっと残念でしたが、タンチョウヅルにも会えたし、ところどころでおいしい食べ物、いもだんごやソフトクリームを食べることができて上々。JRの網走から斜里まではオホーツク海に沿って走る絶好の景色が楽しめました。朝の釧路とは全く異なる快晴の好天。北海道の広さを感じます。斜里からは、現地在住の妻の友人の車で、ウトロまでのビューポイントをご案内いただきました。やっぱりマイカーは小回りがきくなあと実感。オシンコシンの滝やサケの遡上観察、熊が出るという沢にも行きましたが、かわりにキツネが出迎えてくれました。思っていたよりも観光のお客さんがとても多く、秘境という感じは全くなくて少し残念でしたが、知床はそれでも、ふだん私が住んでいるところとは全く違う、そのままの自然の表情を見せてくれました。
(つづく)

Posted at 21:35

2006年10月05日

■筆まかせ■ 休暇とってました(1)

 妻も私もいろいろとしんどいことが多いので、なんとかリフレッシュを、と、ひさしぶりにまとまった休暇をいただき、北海道に出かけていました。職場のみなさん、ご理解ご協力ありがとうございました。
 秋の北海道、一度訪ねたいと前々から思っていたのがかないました。忘れないうちに書き留めておくことにしました。私たちの旅行は車を使わず(私は免許無し、妻はペーパー)、鉄道やバス、自転車、徒歩での移動です。目指すは道東。早まわりの旅です。

 28日、通常の早番勤務を終え、職場のみなさんにあいさつをして退庁。夜のうちにJR、大阪から京都経由で東舞鶴まで。そこからタクシーで前島埠頭へ。そう、今回の往路はなんと「フェリーに徒歩乗船」なのです。新日本海フェリーの舞鶴〜小樽航路の「あかしあ」。深夜に出航してその日の夜8時45分に小樽に着く20時間の船旅。前に乗った「トワイライトエクスプレス」よりも速いです(舞鶴までの移動を考えるととんとんかな)。宿に一泊するつもりで上等船室を予約。ちょっとしたリゾートホテルみたいでリラックス。狭いながらバストイレ付き。なにより部屋にテラスが付いていて、高速船のスピードを実感できました。海はその日はほんとうに穏やかでほとんど揺れず。響いてくるエンジン音も、そのうちに快くなってくるほどです。船の中には、レストランや売店、自動販売機はもちろん、大浴場やマッサージ機まであって快適そのものです。船ではゆっくりと時間が流れていき、なんにもせずにぼんやり。実は船を選んだ一番の理由は「なんにもせずにぼんやり」で、携帯も航行中は圏外、つかのまの「追いかけられない時間」を堪能しました。
 29日夜に、定刻で小樽着。接岸まで、部屋のテレビのBS2で、阪神−中日天王山第1戦を観戦。その息詰まる展開にハラハラ(旅行とは関係なし)。そのあと今日の宿へ移動。夕食をとり早々と就寝。
 30日、宿で朝食を済ませ、いよいよ道内観光開始。札幌へ移動後、いくつかの買い物を済ませて、昼食は駅前「エスタ」の「札幌ら〜めん共和国」内、“白樺山荘”でみそラーメン。脂っこすぎて、自分の年齢を感じてしまいました。でもおいしかった。ら〜めん共和国は、大阪ミナミの浪花麺だらけにそっくり。さらに、空港へのリムジンバスの中で、7年ぶりに「北菓楼のシュークリーム」をほおばります。初めての丘珠空港からプロペラ機で根室中標津空港へ。ボンバルディア、ちょっと怖かったけど、上五島から乗ったアイランダーよりは安定感抜群で大丈夫。Q300のQは"Quiet"のQだけど、やっぱりプロペラ機はプロペラ機でした。空からは美しい青色の摩周湖がくっきり。山々も黄色く色づきはじめています。
 中標津空港を出ると、かすかな肥料の香り(牛糞か馬糞かも)。酪農地帯だということを実感させます。飛行機の上から点々と見えていた、大きくて黒いビニールの固まり、空港の前にもオブジェのように置いてあって、なにかなと思っていたら、牛や馬のえさになる牧草だそうです。で、普通ならレンタカーなのでしょうが、私たちはリムジンバス。とおもいきや、連絡バスはマイクロバスの路線バスでした。根室まで約2時間、牧草地帯を爆走するマイクロバス、速いけど、のどかです。
 途中、風連湖畔の道の駅に立ち寄ります。日本の最東端部、日が傾くのが早く、午後4時前なのにほとんど薄暮。湿地帯に広がる荒涼たる風景。もう少しすると白鳥が飛来するそうです。道の駅では地元の名産品も販売していて、かねてより気になっていた、根室にしかないという「オランダせんべい」を発見。はじめから湿っていてぱりっとしてないせんべいという不思議なお菓子で、直径20センチくらいの円形で、ワッフルのような格子の型が入っています。たい焼きの皮が冷めてちょっと固くなった、という感じ。ほんのり甘くておいしく、病みつきになる人もいる、というのも何となくわかる気がします。なぜは妻はその食感がツボに入ったらしく、食べているあいだじゅう爆笑していました。と、ここで携帯電話を持っていないことに気付き、バスの中ではあったはず、と営業所に連絡を入れると、車内で無事見つかったとのこと、さらに加えて、今日の宿まで届けてあげる、とのありがたいお申し出。感謝感激です。その後ほどなくして宿に着くとすでに携帯は届いていました。ほんとうにありがたかったです。根室交通さん、ありがとう! 
 その日の宿は根室市内の「エクハシの宿」さん。エクハシ、とは、択捉、国後、歯舞、色丹の頭文字だそうです。根室の人々の、北方四島への思いが垣間見えます。故郷が祖国でなくなった人々の思い、想像を絶するものがあります。ただ、街中にはキリル文字があふれ、友好ムードも強く、外国とのおつきあいのあり方について、考えさせられました。結局は人々どうしの心が理解し合えるかどうか、かも。でも、大阪でのふだんの生活で、北方四島のことを考える時間、ないですよね。訪れた先でそれぞれの街がかかえていることと向き合うのも、旅のあいだの大切な時間です。
 さて、今日のハイライトはなんといっても道東の秋の味覚を満喫できる夕食。まずは生のサンマのお刺身、塩焼き。特にお刺身。大阪でも最近では居酒屋メニューにのぼり、それなりにおいしくいただいていたのですが、これまでのイメージを覆す新鮮さ。全然味が違います。漁港の街ならでは。説明できないおいしさです。次に花咲ガニ。言葉が出ません。宿のお母さんが付きっきりで給仕してくださり、私たちは食べるだけ。でも、カニを食べるときは無言。濃厚な甘さとしたたるつゆがたまりません。ほかにも、名物のボルシチ、いくつかのサイドディッシュが食べ放題。食前酒にといただいたパイナップルの果実酒が食事に勢いをつけてくれました。エクハシの宿さん、ほんとうにお世話になりました。
 (つづく)

Posted at 23:25